tender dragon Ⅱ
葉太はもう何とも思ってないんだろう。だけどあたしは今でも思い出す。
告白したときの葉太の表情も、声も。
本気だってすぐに分かったから。
「あいつが今どこで何してんのか調べてやる。」
あのときと同じ顔してる。
希龍くんがどこで何をしてるのか調べることなんて、龍泉にとっては簡単なこと。
会えってことだ。
いつまでもウジウジしてるあたしの背中を押してくれてるんだ。葉太も春斗も蒼空くんも。
「何でそこまで…」
あたし、一般人だよ?
何の取り柄もない、ただの女子高生だよ。
「何でって……だって美波は、あいつじゃなきゃダメなんだろ?」
あたしを見透かすように、核心をつくように、その言葉を言い放った。
「俺は美波に幸せになってほしいけど、それはあいつにしか出来ないみたいだから。」
希龍くんの傍にいるときが、一番幸せそうだったってこと。
「俺はそれを手伝ってやるだけ。」
好きな人が自分のものにならない辛さを、葉太は知ってる。
だからこうして手伝ってくれるんだ。