tender dragon Ⅱ
見間違えるわけがなかった。
だって、ずっと会いたかったから。
…それなのにどうして、こんな状況で再会してしまうんだろう。
「きりゅ…くん…」
葉太の肩越しに見えた彼の姿。
入ってきた瞬間に分かった。
久しぶりに見た金髪も、綺麗な顔も。あたしがずっと会いたかった希龍くんに間違いない。
あたしの声を聞いた葉太は振り返って、急いで体を離した。
「希龍…」
ドアの前で立ち尽くす希龍くんは、あたしと葉太を見て乾いた笑い声をあげた。
「ははっ……あーあ、お取り込み中だった?」
冷めた目。
柔らかかった希龍くんの優しい面影はない。
1ヶ月ちょっと。
会わなかったのはたったそれだけなのに、知らない人みたいだった。
「邪魔してごめんね。」
そう言うと希龍くんは、自分の部屋に入って何かを探しているようだった。