tender dragon Ⅱ

…何でそんなこと言うの?

違うよ。あたしは希龍くんが好きなんだよ。

似合う、とか言ってほしいわけじゃないの。

何で?


「…お前それ本気で言ってんのかよ。」

あたしの位置から、葉太の顔は見えない。

でも怒ってるんだってことは、声で分かった。


「うん、本気だよ。」

分かりやすい作り笑顔。

希龍くん、いつのまにそんなに分かりやすく作って笑うようになったの?


「ふざけんなよ。」

ダンッと音がして、顔をあげた。

怒った葉太が、胸ぐらを掴んで壁に希龍くんを押し付けた。


「分かりやすい嘘つくな。」

睨み付ける葉太を、希龍くんは動じることなく無表情で見つめていた。


何を考えてるの?

何があったのかちゃんと教えてよ。

どうして変わってしまったのか、聞かせてよ。

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