tender dragon Ⅱ
「嘘じゃないよ。」
なんて言って、また作り笑顔。
本気で思ってるなんて、言わないでよ。
「いいじゃん、両思いなんだから。」
違うよ希龍くん。
「ふざけんな!!」
悲しそうな葉太に対して、やっぱり希龍くんは無表情。葉太の迫力に動じる様子もない。
「だから、ふざけてないって。」
そんな風に言う希龍くんの胸ぐらを引っ張って、腕を振り上げる葉太。
「葉太ダメ…!」
あたしの声なんて聞こえてないみたいだった。
―バキッ…
鈍い音が響いた。
希龍くんは倒れ込んで、葉太は手をギュッと握りしめたまま見下ろしていた。
葉太が、希龍くんを殴ってしまった。
「俺は…っ、お前になら美波を任せられるって思ったから諦めたんだよ!」
葉太がそう言ったとき、
希龍くんと、一瞬だけ目があった。