tender dragon Ⅱ
今まで向けられたことのない冷たい目。
「葉太、離せ。」
低くて掠れた声。
決して仲間に向けることのなかった、威嚇と威圧感。それがあたしたちに向けられた。
「聞こえなかった?」
希龍くんじゃないみたいで
「離せって。」
怖かった。
それでも葉太は離さない。
「それが俺に効くと思ってんのかよ。」
ポツリと、葉太が呟く。
葉太にとって希龍くんは、今までずっと過ごしてきた仲間で、こんな希龍くんだって見てきたはず。
そんな葉太に、この威嚇が効くはずがない。
葉太だから、だよね。
「思ってないよ。」
希龍くんもそれを分かっているようで、期待していなかった、とでも言うかのような表情。