tender dragon Ⅱ
純粋な彼女
いつもと同じように毎日が過ぎていく。
希龍くんがいないままの日々。
少しだけ変わったのは、あたしが安田さんの家に顔を出すようになったこと。
「まぁ、美波にしては勇気出した方なんじゃない。あのままでいいとは思ってなかったみたいだし。」
「…まぁ、ね。」
放課後、蒼空くんとさくら公園のベンチに座って話しているところだった。
「1ヶ月ちょっと、1人で家に帰るのは苦痛だったんじゃねぇの?」
「…うん、寂しかったよ。」
葉太に会って1週間経ったある日、勇気を出して安田さんの家に行ってみた。
緊張しながらチャイムを押すと、安田さんは驚きながらも「おかえり」って言ってくれて、葉太は当たり前みたいに頭を撫でてくれた。
「おかえり」なんて、あたしにとっては一番嬉しい言葉で、胸が締め付けられた。
「バカだな、ほんと。」
うん、あたしバカなんだよ。もっとみんなに頼ればよかったのに、それさえも出来なかった。