tender dragon Ⅱ
「…なぁ美波」
「何?」
急に小さくなった蒼空くんの声。
隣を見ると蒼空くんは、少し寂しそうな顔で空を見上げて話始めた。
「…会いたくても会えないのがどれだけ辛いか分かる?」
「え?」
唐突に、小さな声で。
まるで昔の自分を思い出すかのように話す蒼空くんは、どこか寂しそうだった。
「二度と、話せないし触れられないのって、すっげぇ辛いよ。」
「……蒼空くんは、そういう経験あるの?」
聞いてもいいのか迷った。
でも、話すことで蒼空くんが楽になるなら、聞いてあげたいとも思った。
「…あるよ。」
二度と話せないし、触れられない。
そんな経験なら、一度だけしたことがある。
蒼空くんとは関係が違うのかもしれないけど、あたしも一度親友を失った。
そのときのことは思い出すだけで苦しいし、胸が締め付けられる。
もっと一緒にいたかった、そればかり、頭の中をグルグル回る。