tender dragon Ⅱ
「俺が初めて自分から好きになった、世界で一番大切なやつ。」
顔を歪めて、うつ向いた。
思い出させてしまったんだろうか。
「…どんな人だったの?」
辛そうなのは分かってるのに、なぜか聞きたくなった。蒼空くんがそこまで想っていた女の子は、どんな子なんだろう。
「あー、強いやつだったよ。」
強い女の子?
「運動神経抜群で、頭も良かったし。あ、結構美人だったし。」
そんな風に話す蒼空くんはどこか嬉しそうで、見てればすぐに分かった。
本気で好きだったんだと。
「昔から何でもできたからさ、人に頼るのが苦手で、学校では無意識に敵作ることがあったよ。だから余計に気強くなって。」
いつも大人びてる蒼空くんが、今ではちゃんと後輩に見える。
それが何だか嬉しかった。