tender dragon Ⅱ
「ほんとは弱いのに。」
「え?」
嬉しそうに語っていた蒼空くんの表情は一変。
再び悲しそうな顔に戻ってしまった。
「あいつ、俺に助けてって言わなかった。」
頼ってほしかったんだよね。好きな人を助けてあげたいと思うのは自然なこと。
「痛かったはずなのに…苦しかったはずなのに俺の前ではいつも笑顔しか見せねぇ。」
蒼空くんも、ちゃんとこんな風に余裕なくなったりするんだなぁ。
「でも、一度だけ俺の前で泣いたんだ。」
たった、一度だけ。
「俺があいつに好きだって言ったとき。」
蒼空くんのたった一言で、泣いてしまうほど純粋な心を持った女の子。
「"いついなくなるか分からないよ"って。」
泣いたのはてっきり嬉し涙だと思っていた。
だけど違ったみたいで、理解するのに時間がかかる。
"いついなくなるか分からないよ"
どういう意味?