tender dragon Ⅱ
「ちょうど同じくらいの時期にさ、病気が見つかったみたいで。医者に長く生きられるか分からないって言われたんだって。」
"いつこの世からいなくなるか分からないよ"
どんな気持ちで言ったんだろう。
自分の命が長くないことを知っていながら、それでも蒼空くんと一緒にいたかったってことなんだよね?
「結局、事故で死んじまったけど。」
「事故で?」
俯いていた顔をあげると、苦笑いの蒼空くんと目があった。
「付き合って1年の記念日の前日。」
どれだけ辛かっただろう。
病気になって、長く生きられない彼女。
それでも傍にいると決めたのに、事故で死んでしまうなんて。
「あげる予定だったプレゼントも渡せないまま、いなくなったんだ。」
蒼空くんが指差したネックレスが、キラリと光った。女の子が好きそうな、華奢なネックレス。
ずっと不思議に思ってた。
どうして女もののネックレスを蒼空くんが付けてるんだろうって。