tender dragon Ⅱ
「俺が病院に着いたときにはもう遅かった。」
何でだろう。
「最後に話すことも出来なかった。」
知らないはずなのにな。
「これも、せっかく買ったのにな…」
……どうして。
話を聞いてるだけなのに、どうして思い浮かんでしまうんだろう。
「俺が最後に一緒にいてやりたかった。」
蒼空くんはまっすぐ前を向いていて、誰かを思い出すように目を閉じた。
蒼空くんが一緒にいたかった女の子。
1人の女の子が、頭の中に浮かんで消えた。
「ねぇ、蒼空くん…」
あたし、知ってる?
「その子、名前は…?」
もしかしたら、あたしの大切な…
「…村上結衣。」
村上結衣…
何度もあたしのことを助けてくれた、大切な大切な親友。