tender dragon Ⅱ

1人の帰り道。日課のように携帯を開いて、毎日届くメールを開く。


差出人は、春斗と葉太。

【明日やっと腕のギプスがとれます!】

春斗らしい元気なメール。あたしが安田さんの家に行かなくなって、毎日届いてる。


そして2件目、葉太からのメール。

【学校楽しいか?】

あたしを心配する、優しいメール。


2人ともあたしを気にかけて、希龍くんのことには触れないようにしてくれてる。

それなのに、返せなかった。メールを返さないあたしを、2人はどう思ってるんだろう。

何で返さないんだ、って怒ってるかな。

……きっと2人のことだから、怒るどころか心配してるんだろうなぁ。


ほんとは返したいよ。

でもね、返すとみんなに会いたくなっちゃうから。離れるタイミングは今だと思うの。


出会った頃は考えてもみなかった。こんなに離れたくないと思えるくらい大切な人たちになるなんて。

あたしも最初から龍泉に関われるような人間だったら、みんなのそばにいても良かったのかな、なんて。

あ…、でも、誰に言われたわけでもないんだ。

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