tender dragon Ⅱ
「1人でも大丈夫だって強がってたけど、ほんとは友達が欲しかったんだと思う。」
さすが彼氏。
「ありがとな、美波。」
「何で蒼空くんがお礼言うの?」
「だって、結衣は俺の彼女だし。」
自信あり気に笑って、あたしの手を引っ張った。力強い蒼空くんの手は温かくて、なぜか結衣を思い出した。
「結衣の代わりにってことで。」
「ふふっ、そっか」
「よし、行こーぜ。」
「どこに?」
「安田の家。どうせこのあと暇なんだろ?俺、葉太に話あるからさ。」
誰もいない家にそのまま帰るより、安田さんの家にいた方が何倍も楽しい。
だけど、何もしていないあたしが安田さんの家に行くと、邪魔になるんじゃないかと思ってしまう。
「…あたし、帰ろうかな」
何度「迷惑じゃない」と言われても、頭の中では悲観的なことばかり考えてしまう。
…あたしってめんどくさいなぁ。