tender dragon Ⅱ
「カレー、か…」
出逢った次の日にもこうやって春斗と2人でカレー作ったんだよね。
甘口と辛口、わざわざ違う鍋で作ったっけ。
……甘口しか食べられない彼がいたから、そんな手の込んだことしたんだよね。
「カレー嫌ですか?」
「…ううん、大丈夫。」
春斗も葉太もニンジンが食べれなくて、代わりにあたしが食べてあげて。
2人が騒いでるのに、彼は隣でマイペースに甘口のカレーを食べていた。
痩せてるくせに、3杯も。
「俺、何すればいいですか?」
「じゃあ、野菜の皮剥いてて。」
あのときの光景を思い出せば思い出すほど、ここにいることが苦痛になっていく。
当たり前みたいにここにいたのに。
まるで夢だったかのよう。
「久しぶりですね。」
「え?」
「こうやって美波さんと昼飯作るの、久しぶりじゃないですか。」
「あぁ、そうだね。」