tender dragon Ⅱ
「あれ、蒼空甘口?」
「甘口の気分なんだよ。」
葉太の問いかけに、蒼空くんは当たり前のようにそう返した。
やっぱり、いつもは甘口食べないんだなぁ…
「甘いもの嫌いなのに?」
「うるせー。早く食えよ。」
「蒼空は優しいもんなー。」
春斗が横からそう言うと、蒼空くんは一瞬固まって無言でカレーを食べ始めた。
―プルルルル…
空気が変わったのは、一本の電話のせい。
葉太の携帯が鳴った。
葉太は当たり前のように電話に出ると、電話の相手と話し始めた。
「あぁ…」
笑顔だった葉太の表情は一瞬で真剣なものに変わって、声もいつもより低くなった。
その様子を蒼空くんも春斗も真剣な表情で見つめていて、楽しかった空気は一瞬でガラリと変わってしまった。
「……分かった、すぐ行く…」
―ピッ…
「タケ?」
「あぁ、行ってくる。」
それだけ言って出て行ってしまった。
何も分からないあたしを残してー…