tender dragon Ⅱ
新しいクラスメートは、春休み前にあったことなんて気にしていないかのように話しかけてくれた。
加奈たち3人とはクラスが離れてしまったから、関わりを持たないどころか、話もしてない。
でも、イジメはなくなった。
葉太のおかげだよね。あのとき葉太が助けに来てくれたから、あたしはこうして学校に来れてる。
いつも誰かに助けられる。
葉太も春斗も芽衣も蒼空くんも遼太くんも。
……希龍くんも結衣も。
いつもあたしを助けてくれた。
結衣。
結衣だったらこんなとき、どうした?
希龍くんがどこで何してるのか、全く分からない状態で。連絡もなくて。会うことすらできない。
無理矢理にでも探し出すべき?
春斗や葉太みたいに、返事がなくてもメールを送り続けるべき?
……そんな勇気、ないけどね。
もしも希龍くんが見つかったとして、そのときあたしは彼に何て言うの?
"好き"なんて、言っていいの?
希龍くんの言葉を信じて待ってるあたしは、バカなのかな。
もう涙も出ない。希龍くんがいない状況に慣れてきている自分がいる。それが一番怖かった。
希龍くんも同じなんじゃないかって。あたしのことなんて忘れて、他の女の子と一緒にいるんじゃないかって。