tender dragon Ⅱ
「美波さん、送っていきます。」
「…いいよ、1人で帰れるから。」
明日迎えに来るだけじゃなく、今日も送ってくれるって言うの?
なんで?
「出掛ける用事があるんです。美波さんの家も通りますから、乗ってください。」
「…ほんとに?」
「はい、嘘はつきませんよ。」
春斗はニコッと笑ってあたしにヘルメットを被せると、バイクに跨がってエンジンをかけた。
「明日も、用事があるから迎えに行くんです。1人で帰らないでくださいね。」
「うん、分かった。」
念を押すように言われて、素直に頷いた。
理由もなくこんなこと言うわけないし、あたしは迷惑をかけないようにそれに従うしかない。
自分勝手な行動がどういう事態を招くか、もう痛いくらいに分かってるんだから。
「ねぇ春斗、難波秀太って知ってる?」
難波秀太。
それは紛れもなく難波くんのことで、もしかしたら春斗は知ってるんじゃないかと思って聞いてみた。