tender dragon Ⅱ
「難波秀太…すいません、聞いたことないですね。美波さんの知り合いですか?」
「うん、中学のときの友達。」
知らないか…
「何で俺に聞いたんですか?」
「あ…」
もし難波くんが希龍くんと関わってたとしても、春斗と関わってるかどうかは分からない。
春斗の様子だと、ほんとに知らないみたいだし。関係なかったんだ。
「…聞いてみただけ。」
こんなことで騙されるほどバカな人じゃないって分かってるけど、それでも春斗は…
「そうですか。」
何も気づいていないフリをして、騙されてくれる。優しいから、深く聞いてこない。
「困ってるなら言ってくださいね、俺いつでも力になりますから。」
「…うん、ありがと」
悩んでることにも一番最初に気づいてくれる。春斗がいなきゃ、きっともっと悩んでたんだろうな。
「春斗こそ、悩んでるならいつでも言ってね。」
そう言うと春斗はニコッと笑って「一番に美波さんに相談します」と言った。
ほんとに弟みたい。
「行きましょうか。」
「うん、そうだね。」
春斗みたいな弟がいたら、きっと毎日家に帰っても寂しい思いなんてしなかったんだろうな、なんて考えてた。