tender dragon Ⅱ
そばにいちゃいけないなんて、誰も言ってない。そばにいる理由がなくなっただけ。
……いつか言われてしまうのかもしれない、と考えただけで怖くなっただけ。
「バイバイ、美波ちゃん!」
「あ、バイバイ」
臆病な自分に苛立つ。
―ブーッブーッ…
ポケットで鳴り響くバイブの音。
携帯を開くと、なぜか葉太からの2件目のメールが来ていた。
【聞きたいことがある。 時間あるときにメールして。】
いつもとは違ったメールの内容だった。
会って話をするってことなんだろうか。
そうなんだとしたら、メールは返せない。
自分で決めたことだから。
整理ができるまで、落ち着くまで、連絡はとらないし、みんなとは会わない。
いつものように携帯を閉じた。