tender dragon Ⅱ

「おお、いいじゃんサッカー。息抜きに一緒に見てくれば?」

春斗の隣にいた葉太は当たり前みたいにそう言って笑う。

……こんなことで怒るほど、心の狭い人たちじゃないんだった。


「いいよ、じゃあ土曜は美波とデートってことで。家まで迎えに行くから。」

なんて、あっさりと約束してしまった。

…息抜き、か。


あれから時間が経ってるってことは、龍泉のトップが簡単に見つかるようなミスをする人じゃないってこと。

近くにいた葉太や春斗や蒼空くんでも、何をしてるのか突き止められないほど注意深く動いてるってこと。


………それだけ、彼があたしたちに会いたくないってこと。


「あーあ、俺も病院がなきゃ美波さんとデートしたのになー。」

「俺が代わりに楽しんできてやるよ。」

「デートじゃないでしょ!」


それに春斗とだったら何度も出掛けてるし、登下校だって毎日一緒だった。

それだけあたしと一緒にいて飽きないかな。

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