tender dragon Ⅱ

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―――――――…

「おはよ。」

玄関のドアを開けると、そこには眠そうな蒼空くんが立っていた。

「おはよ、蒼空くん。」

休日の外でこうして蒼空くんと会うのは初めて。だから、部屋着以外の私服を見たのも初めてだった。


「じゃあ、行こっか。」

「あぁ、うん。」

やっぱり疲れてるみたいで、少し前を歩く蒼空くんは何度もあくびをしてた。


後ろ姿はやっぱり似てる。

でも、それを見ても前ほど苦しくはならない。

蒼空くんも希龍くんも、よく見ると髪色だって身長だって雰囲気だって違う。

…もう、大丈夫。


「美波さ、松村って覚えてる?」

「松村ってあの…狂羅と手組んでた人?」

たしかいい噂は聞かないって春斗が言ってたような……あ、希龍くんと葉太と中学が一緒なんだっけ?


「うん、その松村。あいつ最近この辺うろついてるらしいんだ。」

「え…?」

自分とは無関係だと分かっているのに、反射的にドキッとしてしまった。

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