tender dragon Ⅱ

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試合が終わると、観客席にいた人たちはぞろぞろと帰りだす。

試合は難波くんのチームの圧勝。

当然と言えば当然の結果。

難波くんが通ってる学校はスポーツで有名なところだし、その中でもサッカーは特に強いと有名だから。


「美波、帰る?」

「うん、帰ろっか。」

難波くんに挨拶して帰った方がいいかな、なんて思ったりもしたけど、今そんな余裕はない。

………気になっていることがあるから。


人混みの中、蒼空くんはちゃんとあたしの手を引っ張って歩いてくれる。

あたしが迷わないように。


…もう、難波くんには会わない。

思わせ振りな態度は、最後に難波くんを傷つけるだけ。あたしが嫌なやつになればいい。

メールも電話もしない、返さない、最低な女になって難波くんに忘れてもらえればいい。
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