tender dragon Ⅱ
彼が消えた理由
安田さんの家に戻ると、葉太と春斗はすでにソファに座って何か話してた。
雰囲気がいつもと違う。
………彼に何があったのか、分かるんだ。
「…美波、これから希龍のこと話すけど、大丈夫か?」
「…うん、大丈夫」
覚悟ならもう出来てる。
会いに行く覚悟も、伝える覚悟も。
「単刀直入に言う。あいつ今、総合大学病院にいるんだ。」
総合大学病院…?
何で?
もしかして、病気?事故?
希龍くんが入院してるの?
「ばーか、心配すんな。あいつが入院してるわけじゃねぇから。」
「……じゃあ、何で…?」
「お見舞い。」
隣に座ってた蒼空くんが、イラついたように少し大きな声でそう言った。
「お見舞い?誰の…」
そのときふと難波くんの言葉を思い出した。
「総合大学病院の503号室…」
ポツリと口に出す。