The endless world
「純白先輩達帰ったね」
「そうだな。」
「無事に帰ってくれればいいんだが」
夕日が落ちて空は藍色へと変わっていく。
その道をとぼとぼと正宗と明君と帰る。
「そう言えば知月が言ってたけど、歪が出来たのは今に始まった話じゃないんだよな?」
「あぁ、その時は知月の使い手が見付からなくて涙月(なだつき)という『神刀(かみがたな)』を使ったんだ。」
「じゃあ、鬼を斬れる刀は知月だけじゃないんだ?」
「あぁ、でもその後は血を見るほど悲惨だったらしい、だから出来れば涙月は『目覚めさせる』訳にはいかないんだが…」
きゃあぁぁぁ!!
突然目の前の曲がり角を曲がった辺りから悲鳴がする。
急いで駆け寄ると清香先輩と純白先輩の姿が近くの公園から遠目に見える。
目の前にはたくさんのスライムの様にうねうねと動く黒い影が漂っていた。
「先輩!!」
「お前ら!!」
「正宗っ!!」
「わかってるっ!」
明に言われて知月を手に取る。
先輩達に近寄ると清香先輩が肩を痛めながら純白先輩を庇っていた。
「先輩、大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だが、純白が腰抜かしてて」
「清香…ごめん、私は幽霊と高い所は大の苦手なんだ…」
「手当てをする。肩を見せてください」
先輩の肩を見ると酸で溶けたように煙が出ていた。