この空の下で風は唄う
††††††††††††††
剣道は好きだ。
独特の緊張感とか、試合の時の相手から伝わる真剣な気迫とか。
そういうものが、素直に好きだと思える。
「これで三年生全員負かされちゃったわねぇ」
背の高い先輩が、あたしに向かって言った。
この人はさっきまであたしが試合していた先輩。
この剣道部の女子の部長…だった人。
「それでも、先輩が引退するまでに勝たせて貰えませんでした」
少し不満に思って、そう言った。
先輩は笑って、あたしの頭をかき回すようにして撫でた。
「部長としての意地とか色々あったのよ。今日からはあんたが部長なんだから、頑張りなよ。風!」
そう、今日から、あたしが部長なんだ。
本当は、リーダーシップとるのとか、得意じゃないんだけど。
「風先輩、超かっこよかったッス!!」
髪の短い、活発そうな雰囲気の女の子があたしに言った。
「ありがと、くるみ」
差し出されたタオルを受け取る。
この子は入部した当時から、熱心にあたしを慕ってくれてる後輩。
……正直、なんでかわからない。
「みんなマジ感動してたんスよ!」
くるみの視線の先には、一年生が全員、あたしのことをキラキラした目で眺めてくれてた。
あたしはそれに気づかないフリをして、防具を外した。
「さ、一年生中心に後片付け。二年生は床にモップかけて!」
キビキビとした指示。出したのはあたしじゃなく、ポニーテールが似合う、同い年の茜(あかね)。
今日から彼女が副部長。
むしろ、あたしには彼女が部長のほうが何倍も向いてると思うんだけど。
「いや、なんか悪いね、茜」
「何言ってんのよ風、アタシはあんたを支える係なんだから」
と、れたように笑う。
なんでかわかんないけど、みんなあたしを慕ってくれてる。
だから部長も引き受けた。こんなあたしでいいのなら。
「じゃ、また放課後にね。お疲れ様」
「「「お疲れ様でした!」」」
みんなの元気な声で、練習は終わった。
少しの気疲れのため息をついて、
あたしは、携帯を取り出した。
時刻は8時。
「今日はちゃんと起きれてるのかな、空は」
剣道は好きだ。
独特の緊張感とか、試合の時の相手から伝わる真剣な気迫とか。
そういうものが、素直に好きだと思える。
「これで三年生全員負かされちゃったわねぇ」
背の高い先輩が、あたしに向かって言った。
この人はさっきまであたしが試合していた先輩。
この剣道部の女子の部長…だった人。
「それでも、先輩が引退するまでに勝たせて貰えませんでした」
少し不満に思って、そう言った。
先輩は笑って、あたしの頭をかき回すようにして撫でた。
「部長としての意地とか色々あったのよ。今日からはあんたが部長なんだから、頑張りなよ。風!」
そう、今日から、あたしが部長なんだ。
本当は、リーダーシップとるのとか、得意じゃないんだけど。
「風先輩、超かっこよかったッス!!」
髪の短い、活発そうな雰囲気の女の子があたしに言った。
「ありがと、くるみ」
差し出されたタオルを受け取る。
この子は入部した当時から、熱心にあたしを慕ってくれてる後輩。
……正直、なんでかわからない。
「みんなマジ感動してたんスよ!」
くるみの視線の先には、一年生が全員、あたしのことをキラキラした目で眺めてくれてた。
あたしはそれに気づかないフリをして、防具を外した。
「さ、一年生中心に後片付け。二年生は床にモップかけて!」
キビキビとした指示。出したのはあたしじゃなく、ポニーテールが似合う、同い年の茜(あかね)。
今日から彼女が副部長。
むしろ、あたしには彼女が部長のほうが何倍も向いてると思うんだけど。
「いや、なんか悪いね、茜」
「何言ってんのよ風、アタシはあんたを支える係なんだから」
と、れたように笑う。
なんでかわかんないけど、みんなあたしを慕ってくれてる。
だから部長も引き受けた。こんなあたしでいいのなら。
「じゃ、また放課後にね。お疲れ様」
「「「お疲れ様でした!」」」
みんなの元気な声で、練習は終わった。
少しの気疲れのため息をついて、
あたしは、携帯を取り出した。
時刻は8時。
「今日はちゃんと起きれてるのかな、空は」