この空の下で風は唄う
それからあたしが、洋平と別れてクラスで待っていると、遅刻ギリギリで空がのん気に登校して来た。

空も、あたしとは微妙に色違うが、髪の毛の色素は薄い。
あたしとは違ってまっすぐな髪、あたしが肩くらいまでしかないのに比べ、空の髪の毛は背中の真ん中くらい長さ。
目がクリクリしてて、今は眠たげに目を擦ってる。
あたしは確かに姉馬鹿だが、空は間違いなく可愛い。

「おはよー、風ー」

「おはよ、竜太ちゃんと来てくれた?」

「うん、竜太くんの自転車早くて落ちちゃいそうだったよー」

あははと笑った。
普通間に合わない距離なのに。
と、頭の中でだけ賞賛した。

「予習した?」

「やってなぃ……」

「空、次の時間当たるよ」

「ぇえっ、どうしようっ」

「仕方ないな、見せてあげる」

空にノートを差し出した。ほっとした顔をしたのを見てこっちまで安心する。

「本当、風は空に甘いんだから」

後ろから声をかけられる。
2つ縛りで、メガネをかけた女の子が座っている。
うちのクラスの委員長の七海(ななみ>。
空とあたしの共通の友達。

「たまには自分でやったら?」

「うー……わかってるよー……」

七海は物事をはっきり言う性格。
空は苦手なタイプだろう。
< 15 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop