この空の下で風は唄う

そして放課後。
私は急いでグラウンドに向かう。

「マネージャー、帽子落としたぞ」

ぽんっと、頭に野球帽が乗せられる。
振り向くと、竜太くんが立っていた。
私は一応野球部のマネージャーをしてる。竜太くんも、野球の格好をしてて、相変わらず似合っている。

「ね!やっぱり風って凄いかも!」

幼なじみの登場に嬉しくなって、今日ずっと話したかった話題をふる。
今日の数学の時間の出来事。

一通り話すと、竜太くんはため息をついた。

「また風の自慢かよ」
「でも凄いでしょ〜?」
「あいつはお前のことになると本気だからな」

と、竜太くんは何故か面白くなさそう。
いいから早く行くぞ。と、私の頭をぽんと叩いた。

(カッコいいなぁ竜太くん)

でも、私と彼は幼なじみ。
仲良くしてくれるのはきっと友達としてだろう。今は竜太くんを支えられるようにマネージャー頑張ろう。

これは風にも、まだ言ってないけど。


私は竜太くんを追って、廊下を走り出した。
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