この空の下で風は唄う
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「まず素振り。500本」

部員全員に向けて言った。
一年生が、少しざわついた。
確かに、突然こんなにメニューが変わると驚くかも知れない。

「突然でごめんね。でもこれからは、週6日あるうちの4日は基礎練習、2日は実戦形式の練習にするから」

あたしが言った言葉を、茜がホワイトボードに書き込んでいく。

「この4日間の基礎練習のあと、すぐに実戦形式の練習で力試しが出来る。実戦形式の練習では、きちんと自分の弱点を考えながらやって。それを次の4日で意識しながら練習して」

みんなの顔が強張っている。
あたしは、口調をくだいて、笑って言った。


「頑張ればどんどん上にいくし、サボったら自分より実力が劣ってた子に抜かされちゃうかもね。頑張れよ、特に二年生」

若者の元気に負けんなよ、オバさん方。
と付け加えたら、みんなから笑いが起こった。

茜が声をかけて、素振りが始まる。

素振りをしながらふと男子を見ると、洋平が男子に向けて話をしていた。

なかなか様になっているその様子に、あたしも自分を励まし、練習に向かった。
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