この空の下で風は唄う
††††††††††††††††††††
「夏祭り?」
学校からの帰り道。
洋平とあたしが、たまたま男子部と女子部の部活の終わる時間が重なったので、二人で帰っている時だった。
「うん。もうすぐだなぁと思って」
眼鏡の奥で優しげに瞳を揺らして、洋平はこちらを見る。
「毎年行ってるもんね。うちら4人で」
毎年のことなのに、こういう行事は近くになるまで忘れてしまっている。
大体思い出して、みんなで行く提案をするのはあたし以外の誰かだけど、今年は珍しく洋平が最初に口を開いた。
「毎年毎年、出てる出店は大体同じなのに、よく飽きずに行くよねあたしたち」
毎年、はしゃぐ空を思い浮かべながら、あたしは笑って言った。
「いいじゃん。だって、毎年楽しいでしょ」
確かに……。
そう思って、また笑った。
「それに、こうやって4人でいられるのも、今のうちかも知れないしさ」
洋平がこんなことを言うなんて意外で、あたしは思わず洋平の顔を見つめた。
「ね?」
困ったように笑う彼に、あたしはただ、
「そうだね」
と言うことしかできなかった。
あたしも、洋平も、いつか4人が離れなければならない時が来るって、もうわかってしまっていた。
ただ、他の2人が、なるべくそのことに気づくことが遅くなればいいと祈りながら。
「夏祭り?」
学校からの帰り道。
洋平とあたしが、たまたま男子部と女子部の部活の終わる時間が重なったので、二人で帰っている時だった。
「うん。もうすぐだなぁと思って」
眼鏡の奥で優しげに瞳を揺らして、洋平はこちらを見る。
「毎年行ってるもんね。うちら4人で」
毎年のことなのに、こういう行事は近くになるまで忘れてしまっている。
大体思い出して、みんなで行く提案をするのはあたし以外の誰かだけど、今年は珍しく洋平が最初に口を開いた。
「毎年毎年、出てる出店は大体同じなのに、よく飽きずに行くよねあたしたち」
毎年、はしゃぐ空を思い浮かべながら、あたしは笑って言った。
「いいじゃん。だって、毎年楽しいでしょ」
確かに……。
そう思って、また笑った。
「それに、こうやって4人でいられるのも、今のうちかも知れないしさ」
洋平がこんなことを言うなんて意外で、あたしは思わず洋平の顔を見つめた。
「ね?」
困ったように笑う彼に、あたしはただ、
「そうだね」
と言うことしかできなかった。
あたしも、洋平も、いつか4人が離れなければならない時が来るって、もうわかってしまっていた。
ただ、他の2人が、なるべくそのことに気づくことが遅くなればいいと祈りながら。