この空の下で風は唄う
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「夏祭り?」

学校からの帰り道。
洋平とあたしが、たまたま男子部と女子部の部活の終わる時間が重なったので、二人で帰っている時だった。

「うん。もうすぐだなぁと思って」

眼鏡の奥で優しげに瞳を揺らして、洋平はこちらを見る。

「毎年行ってるもんね。うちら4人で」

毎年のことなのに、こういう行事は近くになるまで忘れてしまっている。
大体思い出して、みんなで行く提案をするのはあたし以外の誰かだけど、今年は珍しく洋平が最初に口を開いた。

「毎年毎年、出てる出店は大体同じなのに、よく飽きずに行くよねあたしたち」

毎年、はしゃぐ空を思い浮かべながら、あたしは笑って言った。

「いいじゃん。だって、毎年楽しいでしょ」

確かに……。
そう思って、また笑った。

「それに、こうやって4人でいられるのも、今のうちかも知れないしさ」

洋平がこんなことを言うなんて意外で、あたしは思わず洋平の顔を見つめた。

「ね?」

困ったように笑う彼に、あたしはただ、

「そうだね」

と言うことしかできなかった。

あたしも、洋平も、いつか4人が離れなければならない時が来るって、もうわかってしまっていた。
ただ、他の2人が、なるべくそのことに気づくことが遅くなればいいと祈りながら。
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