この空の下で風は唄う
雨が、降っていた。
こんなとき私はいつも傘を忘れるので、学校からよく風と二人で一本の傘に入って帰った。

あんな風に、言うつもりじゃなかった。
私は自分を攻めながら走った。
お母さんの悲しそうな顔と、風の本気で怒った顔が頭の中でぐるぐると巡る。

「……っ……」

強い雨の中で私の泣き声だけが聞こえ、服も髪もビシャビシャでそれでも走る私はあまりに惨めだ。

「……ぅあっ」

バシャッ。
思いきり転んで泥や水が体中に跳ねた。
私は起き上がることが出来なかった。

「風……」

呟いたら、また涙が出てきた。
私はなんて甘ったれで弱虫なんだろう。
私のこの弱さがお母さんと風を傷つけた。
いっそ私なんてこの雨と共にどこかに流れていってしまいたい。


私はのろのろと起き上がりゆっくりと歩いた。
少しすると公園が見えてきた。
いつも、風が私の為にブランコを譲ってくれる公園。
また泣きそうになりながら私はすべりだいの中に入った。
屋根があるので雨は入ってこない。
疲れた。
私はビショ濡れの体を抱えるようにして疼くまった。
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