この空の下で風は唄う
いつのまにか眠って
夢を見ていた。

私は、風のあとを歩いている。
私よりももっと小さい風。
……泣いているの?

『風っ』

駆け寄りたいけど
私の足はゆっくりとしか
動いてくれない。
こんなときまでトロい足。

『……風……』

泣かないで。風。
なんで泣くの?
すると
幼い風が振り返った。

『空になりたい』

なんで?
私なんてどんくさくて
いつも風を追い掛けてばかりで。

『空は私にはない本物を持っているから』

私が持っている……本物?

『私は偽物だから』

そんなこと言わないで風。
私……私は……。
泣いている風が、悲しそうに私を見つめた。

『私は……』

風が何か言いかけて


「……ら。……空っ」

私は目覚めた。
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