chocolate cafe

 悠くんの唇が離れて
 キスが終わったから
 ももはゆっくりと目を開けた。

 さっきのことを思い出して
 思わず笑みがこぼれてしまっていた。

 
 そしたら悠くんは、ニッと笑って
 からかってるみたいな顔で
 ももをからかうようにこう言った。


「もも、キス気持ち良かったんだ?」
 
 なんてこと言うから、
 ももはぶるんぶるんと首を振って
 ひたすら否定した。

 悠くんはそのまま言葉を続けた。


「ももはそのくらいじゃないと
 ももらしくないからさ、
 あんまり、暗い顔すんな。
 笑ってる顔の方がももに似合ってる」

 そう言った悠くんの顔は
 妹をなだめる、
 お兄ちゃんのような表情で
 ももは嬉しいと同時に
 胸がギュッと締め付けられて
 どうしようもなく苦しくて
 切なくて無性に泣きたくなった....


 ももはこのとき、
 本当のキスの意味や
 ももをみていないことくらい、
 きっと、多分、本当は........

 分かってたんだ。


 分かりたくなかった。
 知りたくなかった。

 でも、きっといつかは
 知らされることになるんだとしても
 今はまだ知りたくないし、
 分かりたくもない。
 
 この想いを打ち砕かれたくない....



 



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