星空の下で
俺は二十歳を過ぎ成人のお祝いだと慶太郎から貰った結城壮一郎さんと幼い頃の慶太郎が写った写真を店のデスクに飾っている。結城さん!俺達はもう今年21歳になりますよ。店はなんとか順調です。慶太郎の会社の方もうまくいってるみたいっす。あいつは本当に努力してきました。俺はあいつの努力には勝てませんよ。
『兄貴!久しぶり!』
『おう!雄輔!今日は休みか?』
『うん!店はどう?俺はまあまあやっと稼げるようになったし兄貴からお小遣いを貰う必要もなくなったよ』
『そうか。お前ももう今年19歳になるんだからな。そろそろ自立してもらわなきゃ困るよ』
『兄貴は母ちゃんに会ってる?』
『いや会ってねーな。まあ会う暇もないからな。金は振り込んでるし生活には困ってねーだろ。お前はたまには帰ってるのか?』
『まあたまにね。母ちゃんにも迷惑かけたから。相変わらず元気そうだったよ。男もいるみたいだったし』
『そうか。まあ元気ならいいじゃねーか』
『兄貴!俺にも店の経営を教えてよ。俺はいつまでよその店でホストやるわけ?俺も兄貴みたいに店を回したい』
『最低3年はよそで働いて来い。お前はまだ1年目だろ。2回も年少入って出てきたお前を食わしてきたのは俺だ。最近やっと一人暮らし出来るようになったばかりじゃねーか。あと2年やって自分で充分食えていける状態が続けられたら考える。甘い世界じゃない。お前が続くかもまだわからないんだ。もう大人になれ雄輔!二度とバカな事はやめとけ。お前が苦しむだけだ。お前が道をはずれたのは俺にも責任があるとは思ってるよ。悪いな。でも自分で乗り越えてこい!俺も16歳からのたれ死ぬ覚悟をしながら頑張ってきたんだ』
『年少から出てきて兄貴には世話になったからこそ俺も早く店を回せるようになりたいんだよ!ナンバーワンにはまだなれてないけどナンバー2として充分な稼ぎはある』
『だからあと2年やれたら考えるって言ってるだろ!もう少し頑張ってこい!それにホストじゃなきゃダメって事はないし他にやりたい事が見つかれば俺も協力出来る事はするぞ』
『相変わらず俺に厳しいじゃん』
『何事も経験が大事だし3年間お前が続くかどうかなんてお前次第なんだからな。母ちゃんにもう心配かけないよう大人になれ』
『わかったよ!』
雄輔は高校にもいかずと言うより行ける高校もなく16歳でまた少年院へ送られていて17歳になって出てきた雄輔は働く事もなくダラダラと過ごしていたからホストの仕事を紹介したのは俺だ。18歳になる前にようやくホストとして働きだした。俺は雄輔が食えるようになるまで金の援助をしてきてやったがこいつの為にももっと経験を積み甘くはない世界で生き残れる力をつけてほしかった。俺達は食う事に困っていた時代があるんだ。だから何があっても強く生きろ。お前にロクな見本を見せてこなかった中学時代の俺は本当に悪いと思ってるよ。許せ雄輔。でもあの時の俺達は弱すぎてわけのわからない思春期のパワーに完全に飲み込まれていたんだ。
『大輔さん!おはようございます!』
『おう!おはよう!圭太!便所掃除から始めようか。しっかり綺麗に磨けよ』
『はい!』
今月はたいしたイベントもねーしきついかな。詩音の誕生日ぐらいだもんな。まあ来月は慶太郎の誕生日だからしっかり稼いでもらうぞ慶太郎。お前のお人好しで無駄に人件費かかってるんだからな。結城さん!慶太郎はどうしてあんなに誕生日を嫌がるんですか?あいつに何があったんですか?俺もホストの仕事をするにあって大事な稼ぎ時だって事を知りました。だから慶太郎の誕生日を知ったのは17歳の誕生日を迎える時に初めてあいつの誕生日を知ったんです。男同士っすからね。誕生日がいつだとか祝うとか興味なかったわけです。17歳の誕生日が来た日に俺は初めておめでとうと言ったことがあります。でも慶太郎は鑑別所から出てきた頃の鋭い目つきで俺におめでとうなんて二度と言うな。お前からそんな言葉を聞きたくないと今にも殴りかかってきそうな勢いでとても喜ばしい事ではないと言う事だけは強く伝わってきました。俺らも別にたいして嬉しいとかって気持ちはないですけど哀しく苦しい事でもないしムキになる事ではないただの誕生日があいつにとっては苦痛であると言う事だけはわかりました。それから俺があいつにおめでとうと言う事はありません。17歳の誕生日に1度言ったきりです。それからはただの仕事であると言う割り切りで稼ぎ時だぞと言うだけですよ。俺達と出逢う14歳までに何かがあったんですよね?結城さん!あなたは知っているんでしょ?俺は今年もあいつにおめでとうは言いません。あなたと星空の下で語れたならばあいつの苦しみの原因を知る事が出来るんでしょうけどあなたが居れば慶太郎はあそこまで苦しんでいないでしょうから俺の出番はないっすよね。まだ俺にはあいつを救う力は二十歳を過ぎてもありません。いつか慶太郎が笑う日が来るんですか?俺本当にあいつが心底笑う所なんて見た事がないっすよ。もうあいつと共に過ごして今年7年目になるんすけどね。あなたと慶太郎が写ってる写真にも笑顔はないですね。どうしてですか?結城さん!俺にはわかりませんよ。
『おはようございます!大輔さん!』
『おう!詩音おはよう!今日もしっかり稼いでくれよ』
『はい!頑張ります!』
『大輔さん!便所掃除終わりました。チェックお願いします!』
『圭太!もう一回やり直せ。どこがダメなのか自分で考えろ』
『はい!すいません!』
『詩音!今日新しい子が入るから見本みせてくれよ!』
『はい!わかりました!大輔さん!俺今日ネクタイちょっとヤバイっすか?女から貰ったんすけどダサくないっす?ちょっと俺に合ってないような』
『まあいいんじゃねーの。それよりユキヤの指導もしっかりしてくれよ!接客が粗いぞ』
『はい!そうっすね。ちゃんと言っときます!』
千佳は大丈夫か?最近すっかり自信を無くしてしまってるよな。恋人でありながら恋人の誕生日も祝えないんだもんな。祝うどころかおめでとうの一言も言えない。なんだかお互い気を遣いすぎてるような感じだ。悪いな千佳。俺は力になれそうにないわ。俺だってあいつの過去はわからねーんだからな。ただ言えるのは慶太郎が本気になり大事にしてる女はお前だけだよ。慶太郎がここまで本気になった事は1度もない。特定の女は作らないなんて生意気な事を言ってた中学時代から千佳と付き合うまでは本当にその日限りか長くてもひと月持つか持たないかだったし冷たく接して女が離れていくのを待ってた。そりゃ本気じゃないからめんどくせーんだろう。でもお前には違う顔を見せるよな。それに傷つけたくない女だって言ってるぜ。千佳!慶太郎には時間が必要なのかもしれねーな。時間が解決してくれるものなのかそんなことで解決できるものかなんて確証はねーけどそれなりに俺達もこれからどんどん大人になっていくだけなんだからあいつも不安定な10代の心とは違ってくるだろう。そう思いたいよ。
『兄貴!久しぶり!』
『おう!雄輔!今日は休みか?』
『うん!店はどう?俺はまあまあやっと稼げるようになったし兄貴からお小遣いを貰う必要もなくなったよ』
『そうか。お前ももう今年19歳になるんだからな。そろそろ自立してもらわなきゃ困るよ』
『兄貴は母ちゃんに会ってる?』
『いや会ってねーな。まあ会う暇もないからな。金は振り込んでるし生活には困ってねーだろ。お前はたまには帰ってるのか?』
『まあたまにね。母ちゃんにも迷惑かけたから。相変わらず元気そうだったよ。男もいるみたいだったし』
『そうか。まあ元気ならいいじゃねーか』
『兄貴!俺にも店の経営を教えてよ。俺はいつまでよその店でホストやるわけ?俺も兄貴みたいに店を回したい』
『最低3年はよそで働いて来い。お前はまだ1年目だろ。2回も年少入って出てきたお前を食わしてきたのは俺だ。最近やっと一人暮らし出来るようになったばかりじゃねーか。あと2年やって自分で充分食えていける状態が続けられたら考える。甘い世界じゃない。お前が続くかもまだわからないんだ。もう大人になれ雄輔!二度とバカな事はやめとけ。お前が苦しむだけだ。お前が道をはずれたのは俺にも責任があるとは思ってるよ。悪いな。でも自分で乗り越えてこい!俺も16歳からのたれ死ぬ覚悟をしながら頑張ってきたんだ』
『年少から出てきて兄貴には世話になったからこそ俺も早く店を回せるようになりたいんだよ!ナンバーワンにはまだなれてないけどナンバー2として充分な稼ぎはある』
『だからあと2年やれたら考えるって言ってるだろ!もう少し頑張ってこい!それにホストじゃなきゃダメって事はないし他にやりたい事が見つかれば俺も協力出来る事はするぞ』
『相変わらず俺に厳しいじゃん』
『何事も経験が大事だし3年間お前が続くかどうかなんてお前次第なんだからな。母ちゃんにもう心配かけないよう大人になれ』
『わかったよ!』
雄輔は高校にもいかずと言うより行ける高校もなく16歳でまた少年院へ送られていて17歳になって出てきた雄輔は働く事もなくダラダラと過ごしていたからホストの仕事を紹介したのは俺だ。18歳になる前にようやくホストとして働きだした。俺は雄輔が食えるようになるまで金の援助をしてきてやったがこいつの為にももっと経験を積み甘くはない世界で生き残れる力をつけてほしかった。俺達は食う事に困っていた時代があるんだ。だから何があっても強く生きろ。お前にロクな見本を見せてこなかった中学時代の俺は本当に悪いと思ってるよ。許せ雄輔。でもあの時の俺達は弱すぎてわけのわからない思春期のパワーに完全に飲み込まれていたんだ。
『大輔さん!おはようございます!』
『おう!おはよう!圭太!便所掃除から始めようか。しっかり綺麗に磨けよ』
『はい!』
今月はたいしたイベントもねーしきついかな。詩音の誕生日ぐらいだもんな。まあ来月は慶太郎の誕生日だからしっかり稼いでもらうぞ慶太郎。お前のお人好しで無駄に人件費かかってるんだからな。結城さん!慶太郎はどうしてあんなに誕生日を嫌がるんですか?あいつに何があったんですか?俺もホストの仕事をするにあって大事な稼ぎ時だって事を知りました。だから慶太郎の誕生日を知ったのは17歳の誕生日を迎える時に初めてあいつの誕生日を知ったんです。男同士っすからね。誕生日がいつだとか祝うとか興味なかったわけです。17歳の誕生日が来た日に俺は初めておめでとうと言ったことがあります。でも慶太郎は鑑別所から出てきた頃の鋭い目つきで俺におめでとうなんて二度と言うな。お前からそんな言葉を聞きたくないと今にも殴りかかってきそうな勢いでとても喜ばしい事ではないと言う事だけは強く伝わってきました。俺らも別にたいして嬉しいとかって気持ちはないですけど哀しく苦しい事でもないしムキになる事ではないただの誕生日があいつにとっては苦痛であると言う事だけはわかりました。それから俺があいつにおめでとうと言う事はありません。17歳の誕生日に1度言ったきりです。それからはただの仕事であると言う割り切りで稼ぎ時だぞと言うだけですよ。俺達と出逢う14歳までに何かがあったんですよね?結城さん!あなたは知っているんでしょ?俺は今年もあいつにおめでとうは言いません。あなたと星空の下で語れたならばあいつの苦しみの原因を知る事が出来るんでしょうけどあなたが居れば慶太郎はあそこまで苦しんでいないでしょうから俺の出番はないっすよね。まだ俺にはあいつを救う力は二十歳を過ぎてもありません。いつか慶太郎が笑う日が来るんですか?俺本当にあいつが心底笑う所なんて見た事がないっすよ。もうあいつと共に過ごして今年7年目になるんすけどね。あなたと慶太郎が写ってる写真にも笑顔はないですね。どうしてですか?結城さん!俺にはわかりませんよ。
『おはようございます!大輔さん!』
『おう!詩音おはよう!今日もしっかり稼いでくれよ』
『はい!頑張ります!』
『大輔さん!便所掃除終わりました。チェックお願いします!』
『圭太!もう一回やり直せ。どこがダメなのか自分で考えろ』
『はい!すいません!』
『詩音!今日新しい子が入るから見本みせてくれよ!』
『はい!わかりました!大輔さん!俺今日ネクタイちょっとヤバイっすか?女から貰ったんすけどダサくないっす?ちょっと俺に合ってないような』
『まあいいんじゃねーの。それよりユキヤの指導もしっかりしてくれよ!接客が粗いぞ』
『はい!そうっすね。ちゃんと言っときます!』
千佳は大丈夫か?最近すっかり自信を無くしてしまってるよな。恋人でありながら恋人の誕生日も祝えないんだもんな。祝うどころかおめでとうの一言も言えない。なんだかお互い気を遣いすぎてるような感じだ。悪いな千佳。俺は力になれそうにないわ。俺だってあいつの過去はわからねーんだからな。ただ言えるのは慶太郎が本気になり大事にしてる女はお前だけだよ。慶太郎がここまで本気になった事は1度もない。特定の女は作らないなんて生意気な事を言ってた中学時代から千佳と付き合うまでは本当にその日限りか長くてもひと月持つか持たないかだったし冷たく接して女が離れていくのを待ってた。そりゃ本気じゃないからめんどくせーんだろう。でもお前には違う顔を見せるよな。それに傷つけたくない女だって言ってるぜ。千佳!慶太郎には時間が必要なのかもしれねーな。時間が解決してくれるものなのかそんなことで解決できるものかなんて確証はねーけどそれなりに俺達もこれからどんどん大人になっていくだけなんだからあいつも不安定な10代の心とは違ってくるだろう。そう思いたいよ。