星空の下で
『大輔!久しぶり!元気そうじゃん!おかえりー!』

『あー。あんたも元気そうでなによりだ』

『大輔!いつもありがとうね!お金!あんたがそこまで稼ぐようになるとはねーあたしもびっくりだよ!いちおあんたの親だけどどうせあんたも雄輔もヤクザかチンピラにしかならないよねと思ってたからさー!』

『あーそうだな。俺もそう思いながら生きてきたよ。今日はこれを渡しにきた。俺が貯めてきた金だ。いちお目標の金額に達した。好きに使ってくれ』

『えっ?あたしはもう毎月あんたから充分振り込んで貰ってるじゃん。雄輔もあんたが面倒見てくれてあの雄輔が少ないけどお小遣いだってくれるんだよ。あたしみたいな親にさ』

『あんたは俺らの母ちゃんだからな。俺も二十歳を過ぎた。今年はもう21歳だ。あんたももういい歳だろ。無理するな。母ちゃん俺らを育ててくれてありがとう。これはちょっとした親孝行のつもりだ。まだまだ足りないだろうけどな。迷惑かけてきた分はこれからまた親孝行させてくれ。母ちゃんだって女1人で俺と雄輔を育てるのは大変だっただろ。もう俺達は大丈夫だから母ちゃんもゆっくりして幸せになれよ』

『大輔!いやだー!なんなのよ!あんた!泣けてくるじゃん!あたしなんかあんた達に親らしい事を何もしてないじゃん!なんであんたはそんなにいい子に育ったのよ!』

『俺達を生んでくれたのは母ちゃんだろ。俺は恵まれていたんだよ。神の計らいで色んな人に出逢うことが出来て沢山の人達に支えてもらって助けてもらった。大切な友もいる。大切な事を教えてくれた人もいた。俺みたいなバカに命はろうとする親友もいる。俺が今こうして沢山の人達に出逢え生きて色んな体験が出来たのは母ちゃんが俺を生んでくれたからだよ。母ちゃんありがとう!やっと俺も大人になったんだ。俺達にもっと親孝行させてくれ。だから元気でいてくれなきゃ困るぞ』

『ありがとうー!大輔!あたしあんた達生んで幸せだよ!大輔と雄輔を生んで良かった。あんた達に母親らしい事なんかしてやれず苦労ばっかかけてごめんね!大輔!あんたも体に気をつけなよ!』

『あぁー。母ちゃんもな。また顔を見に来るよ。男といい加減うまくやれ。じゃあな』

『うん!ありがとう!大輔!あんたいい男になったねー!あんたの父ちゃんみたいにいい男だよ!』

父ちゃんみたいか。悪いな母ちゃん。あんたが1番惚れていたのは俺達の父ちゃんなんだろ。俺が見殺しにしてしまった。父ちゃん!悪かったよ。酒乱で酔っ払ってる父ちゃんは大嫌いだったけどシラフの父ちゃんは俺達をかわいがってくれていたのに俺は母ちゃんと雄輔から大事な父ちゃんを奪っちまった。父ちゃん!俺は父ちゃんの事を好きだったよ。なんであの時あんな事をしたのか後悔しても許されねーよな。ごめん父ちゃん。母ちゃんと雄輔は俺が守っていく。俺が出来る償いはそれぐらいだ。結城壮一郎さん!俺はあなたに生まれてくることは奇跡だと教わりましたよね。だからどんな親であろうと感謝しなさいと言われた。11歳の俺には理解出来るはずもなく母ちゃんをクソ女と呼び続けてきた俺も二十歳を過ぎあなたが教えてくれた事を一つ一つ理解できるようになってきています。母ちゃんに生んでくれてありがとうなんて礼を言うのはものすごく照れるし今さら恥ずかしくてなかなか言葉に出せなかったけどやっと伝えられました。やっぱり照れくせーからすぐに家をあとにしたけど言えて良かったです。これもあなたと神の計らいでようやく再会を果たすことが出来たからですよ。あなたに逢いたいと願い沢山語り合いたいと思っていたのにあなたはとっくに星空へと消えていたんすからね。また後悔しないように勇気をだして母ちゃんに感謝を伝える事が出来ました。まだまだ素直になれない部分はありますけど1番伝えなきゃいけない言葉を勇気ふり絞って言ったんで今日のところはこれが限界です。結城さん!ありがとうございます!あなたと慶太郎のおかげです。だってあなたと慶太郎が写ってる写真を見て母ちゃんに礼を言いに会いに行こうって決意出来たんすからね。もっとこれからも仕事頑張って出来る限り親孝行していきます。
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