星空の下で
『大輔!ただいまー!久しぶりだねー元気だった?雄輔も元気なの?』
『うるせーんだよ!酔っ払い!雄輔は寝てる!もっと静かに喋ろ!』
『あんたさーあたし!いちおあんたの親だよ!最近生意気になったじゃん!ねえー大輔!お水ちょーだい!』
『お前が親らしい事をしてから親ぶれ!ほら!水!金は?食費ぐらい置いていけ!』
『そうだねーあたし親なんか向いてないからねー!金はあるよ!いい客ついたんだー。今月は贅沢していいよー大輔!』
『あっそう。じゃあさっさと出せ!シラフになってやっぱりやめたなんて何度もあるからな!早く金渡せ!』
『はーい!五万あれば充分でしょ?あたしが頑張った金なんだからねーあんたが働くようになったらちゃんと利子つけて返してよー!』
『あー。生きてたらな』
『ねぇー大輔!お父さんほしい?』
『いやいらねーよ。お前だけ一緒に住めばいいだろ。ここの家賃や光熱費に食費さえちゃんと金だけくれりゃお前がどこに行こうが関係ない。どうせ俺らがいたら邪魔だろ。俺は雄輔の面倒を見る。だから金だけしっかり渡してくれればお前がどこの男と住もうが邪魔はしねーよ』
『えー!だってさー大輔と雄輔も一緒に住もうって言ってくれてんだよー!』
『どうせすぐ別れんだろ。また家探す方が大変だ。お前だけ行けよ。俺らは金さえくれれば生きていけんだよ!』
『そう?じゃあしばらく帰ってこないよー。お金無くなったら連絡してきなよー』
『連絡した所で金をよこした試しがあまりないけどな。引き落とされる分だけは最低払えよ!住む家がなくなったらお前が捨てられても帰ってくる場所がねーんだぞ。困るのは俺らだけじゃなくお前も一緒だ!』
『わかったよー!ねえー大輔!あんたさー自分の父親も嫌いだったよね!まああいつは酒乱だったもんね。でもさーあんたガキのくせにやることヤバイよー!あたしまでやらないでよー!あーねむたーい。おやすみー』
黙れ。クソ女。俺はなんでこんな女から生まれたんだ。母親の自覚なんか一切ねーし。あーそろそろ雄輔の靴も調達してこねーとな。この五万が最後だと言う可能性もあるし無駄遣いはできねー。調達出来るものはなるべく手に入れて何かあった時の為に残しておかないとな。まあ1年もすりゃどうせ捨てられて帰ってくるんだろうけど。
『やあ!大輔くん!また会えたね』
『おっさん!前金だぜ』
『あーそうだったね。はい。じゃあ千円。どうしたの?顔?殴られた跡?少し青いよ』
『ただの喧嘩だよ。んで今日は何を話すんだ?』
『そうだね。君は今日食事にありつけることが出来たの?美味しいパン屋さんがあってね。良かったら弟くんと朝ごはんにでも食べて。言っとくけど同情ではないよ。俺が食べたかったらついで。ほら?これは俺の朝食用。ここのお店のパンが美味しいんだよ。ちょっと遠回りしなきゃいけないからなかなか買いに寄らないで帰っちゃうんだけど。仕事に疲れてしまってね』
『あっそう。じゃあ貰ってやるよ。おっさんは結婚してないのか?でも俺ぐらいの子供がいるんだろ?離婚でもしたか?うちもそうだから別に驚かないぜ。うちの母ちゃんはもう3回は離婚してんじゃねーか』
『そうなんだ。それで君は強く生きてるんだね。俺は結婚した事はないよ。ただ3年程子供の面倒を見てた。6歳までしか知らないからその後、彼がどう生きているか心配で毎日想っているよ。きっと寂しい思いをしているんだろうなと思ってはいるんだけど俺に出来る事なんかないからね』
『そんなに気になるんだったら俺と喋ってないで会いにいけばいいじゃん。別に何かをしてほしいとかじゃないんじゃねーの。ただ会うだけでいいと思うけど』
『そうだね。ただ会う。それが出来ないんだよな。余計傷つけてしまいそうで俺の方がビビってるんだ。今日は星も見えないね』
『おっさんはその子を捨てたのか?』
『捨てたか。そうだね。彼が辛い思いをするのをわかっていて結局何もしなかった俺は捨てたのと同じだね。今日はあいつが泣いてる気がするよ。どうしてだろう。何があったんだろうな』
『見るだけではダメなのかよ?遠くからでも見ればいいじゃん。そんなに気になるんだったらな。俺が付き合ってやってもいいぜ』
『君は本当に優しくて男気のあるいい男になるんだろうな。俺にも君ぐらいの男気があればあいつを守ってやれたのにね』
『おっさんはいつ休みなの?つうか仕事はなに?』
『俺はいちお医者だけどまだ新米だよ。休みはあってないようなものかな。急に呼び出されるしね』
『ふーん。んでとりあえずいつがいちお休みなんだよ?そのいちお休みっていつだ?』
『土曜だけど。やることはいっぱいあるよ。まだまだ勉強しなきゃならない事だらけだからね』
『じゃあ土曜の13時。俺は弟に昼飯を食わして来るから。ちゃんと来いよ!おっさん!じゃあな!』
『おい!ちょっと!』
強引な子だな。人生には時に思いきりも必要だと言う事かい。でもきっとあいつは塾だよ。大輔くん!会えると言うより姿を見る事すらないよ。君の気持ちだけはありがたく受け取るね。君も大丈夫なのかい?小学生からそんなに強がって生きていて。そんなに深く考える時間も君にはないのかな。悩む暇がないんだろ。張り詰めている時にはがむしゃらに頑張れるけどその糸がプツンと切れてしまった時が怖いんだよ。君はそれに耐えられるの?大輔くん。君はもうすでに死をいつでも覚悟して生きてきたから多少の事では怖じけづかないのかな?君はどう11年間を生きてきたんだよ。大人が悪いね。俺も含めて君に何もしてやれないんだからな。
『うるせーんだよ!酔っ払い!雄輔は寝てる!もっと静かに喋ろ!』
『あんたさーあたし!いちおあんたの親だよ!最近生意気になったじゃん!ねえー大輔!お水ちょーだい!』
『お前が親らしい事をしてから親ぶれ!ほら!水!金は?食費ぐらい置いていけ!』
『そうだねーあたし親なんか向いてないからねー!金はあるよ!いい客ついたんだー。今月は贅沢していいよー大輔!』
『あっそう。じゃあさっさと出せ!シラフになってやっぱりやめたなんて何度もあるからな!早く金渡せ!』
『はーい!五万あれば充分でしょ?あたしが頑張った金なんだからねーあんたが働くようになったらちゃんと利子つけて返してよー!』
『あー。生きてたらな』
『ねぇー大輔!お父さんほしい?』
『いやいらねーよ。お前だけ一緒に住めばいいだろ。ここの家賃や光熱費に食費さえちゃんと金だけくれりゃお前がどこに行こうが関係ない。どうせ俺らがいたら邪魔だろ。俺は雄輔の面倒を見る。だから金だけしっかり渡してくれればお前がどこの男と住もうが邪魔はしねーよ』
『えー!だってさー大輔と雄輔も一緒に住もうって言ってくれてんだよー!』
『どうせすぐ別れんだろ。また家探す方が大変だ。お前だけ行けよ。俺らは金さえくれれば生きていけんだよ!』
『そう?じゃあしばらく帰ってこないよー。お金無くなったら連絡してきなよー』
『連絡した所で金をよこした試しがあまりないけどな。引き落とされる分だけは最低払えよ!住む家がなくなったらお前が捨てられても帰ってくる場所がねーんだぞ。困るのは俺らだけじゃなくお前も一緒だ!』
『わかったよー!ねえー大輔!あんたさー自分の父親も嫌いだったよね!まああいつは酒乱だったもんね。でもさーあんたガキのくせにやることヤバイよー!あたしまでやらないでよー!あーねむたーい。おやすみー』
黙れ。クソ女。俺はなんでこんな女から生まれたんだ。母親の自覚なんか一切ねーし。あーそろそろ雄輔の靴も調達してこねーとな。この五万が最後だと言う可能性もあるし無駄遣いはできねー。調達出来るものはなるべく手に入れて何かあった時の為に残しておかないとな。まあ1年もすりゃどうせ捨てられて帰ってくるんだろうけど。
『やあ!大輔くん!また会えたね』
『おっさん!前金だぜ』
『あーそうだったね。はい。じゃあ千円。どうしたの?顔?殴られた跡?少し青いよ』
『ただの喧嘩だよ。んで今日は何を話すんだ?』
『そうだね。君は今日食事にありつけることが出来たの?美味しいパン屋さんがあってね。良かったら弟くんと朝ごはんにでも食べて。言っとくけど同情ではないよ。俺が食べたかったらついで。ほら?これは俺の朝食用。ここのお店のパンが美味しいんだよ。ちょっと遠回りしなきゃいけないからなかなか買いに寄らないで帰っちゃうんだけど。仕事に疲れてしまってね』
『あっそう。じゃあ貰ってやるよ。おっさんは結婚してないのか?でも俺ぐらいの子供がいるんだろ?離婚でもしたか?うちもそうだから別に驚かないぜ。うちの母ちゃんはもう3回は離婚してんじゃねーか』
『そうなんだ。それで君は強く生きてるんだね。俺は結婚した事はないよ。ただ3年程子供の面倒を見てた。6歳までしか知らないからその後、彼がどう生きているか心配で毎日想っているよ。きっと寂しい思いをしているんだろうなと思ってはいるんだけど俺に出来る事なんかないからね』
『そんなに気になるんだったら俺と喋ってないで会いにいけばいいじゃん。別に何かをしてほしいとかじゃないんじゃねーの。ただ会うだけでいいと思うけど』
『そうだね。ただ会う。それが出来ないんだよな。余計傷つけてしまいそうで俺の方がビビってるんだ。今日は星も見えないね』
『おっさんはその子を捨てたのか?』
『捨てたか。そうだね。彼が辛い思いをするのをわかっていて結局何もしなかった俺は捨てたのと同じだね。今日はあいつが泣いてる気がするよ。どうしてだろう。何があったんだろうな』
『見るだけではダメなのかよ?遠くからでも見ればいいじゃん。そんなに気になるんだったらな。俺が付き合ってやってもいいぜ』
『君は本当に優しくて男気のあるいい男になるんだろうな。俺にも君ぐらいの男気があればあいつを守ってやれたのにね』
『おっさんはいつ休みなの?つうか仕事はなに?』
『俺はいちお医者だけどまだ新米だよ。休みはあってないようなものかな。急に呼び出されるしね』
『ふーん。んでとりあえずいつがいちお休みなんだよ?そのいちお休みっていつだ?』
『土曜だけど。やることはいっぱいあるよ。まだまだ勉強しなきゃならない事だらけだからね』
『じゃあ土曜の13時。俺は弟に昼飯を食わして来るから。ちゃんと来いよ!おっさん!じゃあな!』
『おい!ちょっと!』
強引な子だな。人生には時に思いきりも必要だと言う事かい。でもきっとあいつは塾だよ。大輔くん!会えると言うより姿を見る事すらないよ。君の気持ちだけはありがたく受け取るね。君も大丈夫なのかい?小学生からそんなに強がって生きていて。そんなに深く考える時間も君にはないのかな。悩む暇がないんだろ。張り詰めている時にはがむしゃらに頑張れるけどその糸がプツンと切れてしまった時が怖いんだよ。君はそれに耐えられるの?大輔くん。君はもうすでに死をいつでも覚悟して生きてきたから多少の事では怖じけづかないのかな?君はどう11年間を生きてきたんだよ。大人が悪いね。俺も含めて君に何もしてやれないんだからな。