想い出、そばに(仮)
「せーつなっ、おはよう」
「…愛梨? おはよう」
後ろから勢いよく飛びついてきたのは、クラスメイトの内田愛梨。多分、一番仲のいい女の子。
「せーかい。雪那はすごいねぇ。お、市ヶ谷くんも、ついでにおはよ」
「ついでかよ。ま、いいや。ほら、雪那」
「ん」
翔ちゃんが私の手をとって、椅子に誘導する。
聞こえるのは、女子の小さな悲鳴。
それから、私への陰口。
彼女達は聞こえないと思っているのかもしれないけれど、私は目が悪い分、非常に耳がいい。聞きたくないこと、聞こえなくてもいいことまで、聞こえてしまう。
正直、きついものがある。
彼女たちの陰口は、いたって正論。
悪いのは、私。