想い出、そばに(仮)
「あなたは、市ヶ谷先輩の邪魔しかしていない。あなたがいるから、市ヶ谷先輩は、部活を途中で切り上げたり、打ち上げ断ったり…それに、部活だけじゃなくても」
「知ってるからっ」
思った以上に、大きな声が出た。
「それを、私が知らないとでも? 私が何も思ってないとで…」
あ。
トン、と肩が押された。
バランスが取れていなかったから、そのまま、後ろに…
…痛い。
「…気は、済んだ? 藤本、さん」
「なん、で、よけないの」
「あら、あなた、知らない、の? 結構、有名でしょ。私の目が、見えないの、なんて」
「しっ知らな…」
あぁ、知らないから、本当のことをああもはっきり言えたのか。
「藤本さん、あなた、早く体育館に戻りなさい。この事は、黙っておくから」
ガタガタと音。
きっと彼女が出て行ったのだろう。
目に手をやる。
あぁ、瞼、切れちゃってるな。
どうやって言い訳しよう。
「あーあ。もう、ダメなのかな」