ひとつ、屋根の下で
すると凌は面白くなさそうな顔をする。
「あのね。ずっと言おうと思ってたけど、私、軽めのスキンシップ程度ならいいけど、いくら命令でもさすがにほんとの恋人みたいなことはできな」
「戸倉のこと好きだから?」
強い口調で私の言葉を遮った、凌。
その声が、やけに真剣で。
まっすぐで。
心臓に直接響くようだと思った。
「……そうだよ」
凌の問いに、頷いた。
私は先輩が好き。
先輩以外の人とはそういうこと、したくない。
……したくないの。