ひとつ、屋根の下で


「お前は雨宮を裏切ってるんだ。……分かってんだろ?」


「わ、わかってるよ。わかってる、けど……!」



わかってるけど、やめられない。


離れられない。


私から離れるなんて。


考えられない。




「戸倉が好きなのはお前じゃないんだぞ」




凌のその言葉が。


……泣きたいくらい、痛かった。



自分では分かってるつもりでも、いざ、言葉にされるとそれは鋭い刃物のように私を深く傷付ける凶器になった。



じわっと涙がこみ上げてきて、私は堪えられなくなって。



「凌に言われる筋合いない!私のことなんてほっといてよ!!」



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