ひとつ、屋根の下で


「あ、沙波。おはよう」


うん。


振り返って挨拶を返してくれた千依は、いつもどおり、可愛……、えええっ!?



「ちょ、えっ!?千依、どうしたのその顔!!」


「え?」


「え、じゃないでしょ!?目すごい腫れてるよ!?」



腫れてるだけじゃない。


いつもなら遅刻してもメイクだけは欠かさない千依。


それが、今日はあからさまにスッピンだ。



いつもプルプルキラキラの桃色の唇だって、今日は血色も悪くカサカサ。


いつだって上を向いてる睫毛も今日は下を向いて存在感を失っている。


目元は腫れ、瞳も充血して赤い。



……こんなの、いつもの千依じゃない!!


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