ひとつ、屋根の下で



───────。




「……み、沙波!!」



耳元で叫ばれた声で、目が覚めた。



……え。私、寝てた……?



パチパチと何度か瞬きを繰り返して、漸く私を呼んでいたのが凌だってことに気付く。


屋上の片隅で膝を抱えて体育座りをしていた私の両肩を掴んで、まっすぐ私を見る凌。


凌の背景が真っ暗だったことで、もう夕方じゃないことを知った。



「し、のぐ……」


「馬鹿かお前!!何こんなとこで寝てんだよ!!」



今まで聞いたことがないくらいの強い口調で叱咤(しった)され、びくりと思わず身体が竦んだ。



「ごめ……」



喉から出てきたのは、自分じゃどうしようもない掠れ声。


瞼が重い。


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