ひとつ、屋根の下で


「……だから、言っただろ」



苦し気に私を見て呟くように言葉を吐き出した凌に、私の頭はやっと動き出して。


……ああ、泣いたからこんなに瞼が重いのか、と思った。


千依を、先輩を失ったから、こんなに心が痛いのかと、納得した。



「だから、もうやめろって言っただろ……!」


そう言った凌に、気付いたら強く抱きしめられていて。


心が、身体が、じんと温もりを感じた。




凌のセリフは、全て知っているような口ぶり。


……ううん。


きっと、気付いてるんだ。



「……なんで、知ってるの?」




なんで、私のしたことが千依にばれたって。


そのせいで、千依を傷付けて、自分も傷付いてるんだって。


どうして凌は、気付いてるの……。




「お前が疲れて寝落ちるまで泣くなんて、それしかないだろ」



「……そっか」




やっぱり私は、千依の言うとおり、分かりやすい性格なのかもしれない。


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