ひとつ、屋根の下で





「はじめまして!支倉沙波(はせくら さなみ)です!今日からよろしくお願いします!」


放課後、早速下宿先に向かった私は、玄関で出迎えてくれた女の人にそう言って頭を下げた。


両手で持っていた一泊分の荷物の入ったボストンバッグと、学校の道具の入ったスクールバッグが、勢い余って玄関の床にゴスッと落下する。


大きな庭に大きな家。


まわりの家々がこじんまりとして見えてしまうほどの立派な豪邸が、どうやらこれから私がお世話になるお宅らしかった。


……信じられなくて、何度も住所と表札を確認したけど。



「よろしくー。あたしのことはナオちゃんて呼んでくれたらいいから」



明るい茶色に染められたベリーショートの髪がとてもよく似合うその人は、にっこり笑ってそう言った。


私より少しだけ低い身長に、細い手足。


襟ぐりの広い服のせいもあってか、細く白い首がすごく綺麗に、魅力的に見える。


……んだけど。



「……あの、早速なんですけどナオちゃん」


「なになに?」


「……ナオちゃんは、絵描きさんか何かですか?」



訊くと、ナオちゃんはあははと笑った。


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