ひとつ、屋根の下で


「あたし、高槻砂穂(たかつき すなお)。沙波ちゃんのお母さんとは高校の同級生でね。それ以来ずっと仲良くさせてもらってるの」



テーブルをはさんで私の向かいの椅子に腰かけながら、ナオちゃんはにっこり笑ってそう言った。


高校のころから…、ってすごいな!



「だから、沙波ちゃんは覚えてないかもしれないけど、初めましてじゃないよ。今はお互い忙しくて会えてないけど、沙波ちゃんが小さい頃は花波とは茶飲み友達だったから」


「そうなんですか!」



あ、花波(かなみ)っていうのは、私のお母さんの名前。



「そ。……で、早速で申し訳ないんだけどね」



ナオちゃんは言葉に反して、申し訳ないというよりはどこか面白がるような表情でそう言う。



「あたし、ほとんどこっちにはいないんだよね」


「……え」


「あ、こっちっていうか、母屋?沙波ちゃんの言うとおり、あたし絵描きだからさ、この家の隣にくっついてるアトリエにほとんどこもりっきりなんだよね」



アトリエ!

なんかカッコいい!

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