ひとつ、屋根の下で


「それに、さっきも、責めたわけじゃねーよ。……ただの、嫉妬、だから」


可愛いって言ってくれたことが凌の本心だったことが嬉しすぎて、心がじんわりと温かくなったのを感じていた私は、空気に溶けてしまいそうなほどに微かな声で告げられた凌の次の言葉の意味を、なかなか理解できなかった。



「……」



しばしの沈黙の後、ようやく脳が動き始める。


……え。


嫉妬!?




「う、あ、え……?」



凌の言葉が信じられなくて、私は意味のなさない声を発することしかできなかった。


そんなに母音を連発してどうするの、と思いながらも、なにも言葉が出て来ない。



顔が熱くてどうしようもない。


嫉妬って、あの嫉妬だよね?


瀬野くんが言っていた、嫉妬、だよね……?


じゃあ、瀬野くんの言葉は正しかったってこと?


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