ひとつ、屋根の下で
そんな考えがぐるぐると頭の中を巡っているうちに、私の身体がグッと引き寄せられて、気付けば凌の腕の中にいた。
「し、凌……!?」
そんな凌の行動にも頭はついていけなくて。
────触れるのは仕事のため。
そう言ったけど、今この瞬間も、そうなの?
嫉妬した、なんてまるで私のことを好きみたいなことを言っておいて、仕事のために私を抱きしめるの?
……意味、わかんないよ。
「……っ」
だけど。
頭では、意味がわからないと思いながらも、私の心はその抱擁にどうしようもなくドキドキしている。
凌の温かさに、安心している。