ひとつ、屋根の下で
「怖かったよな。……ごめん、守ってやれなくて」
「へ」
「何か、沙波のことを怖がらせているものがあるなら、あいつより俺に相談しろよって思ったけど。……でも、そういうことなら仕方ないよな。……つーか、助けてくれたあいつに感謝しなきゃだよな……」
抱きしめたまま吐かれる言葉ひとつひとつにドキドキする。
私が責められたように感じた裏で、凌はそんなことを思ってくれたんだ。
「……無事でよかった」
「そ、そんな。ただ写真撮られただけだよ……?」
そんな大袈裟な、と言ってみるけど、凌は私の言葉を打ち消すように抱きしめる力を強めた。
「バカ。……俺にまで強がってどうすんだよ。……怖かったんだろ。だから、泣いたんだろ」