ひとつ、屋根の下で
「凌が動物園にいるのって、なんか似合わないね」
ふと、そんなことを思った。
「は?なんだよ、それ」
隣を歩く凌が、怪訝な表情を向けてくる。
意味がわからない、っていう顔。
「凌は、美術館とか博物館とか……。そういう静かなところの方が似合ってるよね。顔だけなら」
「いや、顔だけってなんだよ」
呆れたような表情をする凌だけど、私は思わず笑ってしまった。
だって、自分がどれだけ綺麗な顔をしてるのか、まるで分かってないように見えたんだもん。
周りからちらちらと視線が飛んでくることに、凌は気付いていないのだろうか。