ひとつ、屋根の下で
日曜日の動物園は、たくさんの人であふれていて。
家族連れが圧倒的に多いように感じるけど、同じくらい男女のペアも多かった。
……男女のペアっていうか、恋人同士なんだろうけど。
私たちみたいな、異性の友達で、というのはきっと少ない。
……友達……?
自分で考えながら、その言葉に妙に違和感を覚えた。
「なんか腹減ったな。なんか食わねー?」
丁度、レストランや売店が並ぶ場所に出て、凌が視線をそちらにやりながら訊いてきた。
「うん、食べよっか」
お腹がすいているわけじゃなかったけれど、時計を見たら13時を過ぎるところだった。
きっと私が空腹を感じないのは精神的なものだと思うし。