ひとつ、屋根の下で


日曜日の動物園は、たくさんの人であふれていて。


家族連れが圧倒的に多いように感じるけど、同じくらい男女のペアも多かった。


……男女のペアっていうか、恋人同士なんだろうけど。



私たちみたいな、異性の友達で、というのはきっと少ない。


……友達……?



自分で考えながら、その言葉に妙に違和感を覚えた。





「なんか腹減ったな。なんか食わねー?」


丁度、レストランや売店が並ぶ場所に出て、凌が視線をそちらにやりながら訊いてきた。



「うん、食べよっか」


お腹がすいているわけじゃなかったけれど、時計を見たら13時を過ぎるところだった。


きっと私が空腹を感じないのは精神的なものだと思うし。


< 222 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop