ひとつ、屋根の下で
「じゃあここで待ってて。適当に買ってくる。なんか食べたいもんある?」
結構混雑していたけれど、運よく空いているテーブルを外に発見して、そこに私を座らせると、凌はきょろきょろと周りを見渡しながら言った。
「ううん。凌が食べるもの、ちょっとちょうだい」
そう言うと、凌の視線がふっと降りてくる。
その目は、心配そうな色をしていて。
「……まだ食欲ねーの」
凌の言葉に、私は曖昧に笑った。
そんな私に、凌は何か言いたそうな表情をしていたけれど、結局何も言わずに頷いて、人混みに消えていった。
……ごめんね、凌。
こんな私で、ごめん。
心配掛けてるってわかってるけど、もう、なんだか上手く笑えない。
一緒にいられて、それだけでいいって思ってた。
仕事のためでも、私を必要としてくれるならそれでいいって。
……そんなの、無理なのにね。